家族の一員としてペットと暮らす家庭は増えていますが、十分なしつけをしていたとしても脱走を図るケースがあります。
一瞬の隙をついて玄関や窓から脱走した後、飼い主が慌てて追いかけても行方が分からなくなってしまうことも珍しくありません。
このような場合、脱走した犬は自宅へ戻ってくる可能性はあるのでしょうか。
また、そもそもなぜ犬は自宅から脱走するのか、その裏に隠された心理や考えられる原因、脱走を未然に防ぐための効果的な対策もあわせて詳しく解説します。
脱走した犬が帰ってくる確率は高くない
犬は長年にわたって人間と生活をともにしてきた歴史があり、さまざまな動物のなかでも賢い特徴があります。
きちんとしつけをされた犬や、飼い主と一緒に生活している犬であれば、自宅から外に脱走することはほとんどありません。
ところが、ちょっとしたことがきっかけで脱走を図るケースもあり、飼い主が追いかけてもあっという間に見失ってしまうことも。
しかし、脱走したとしても、犬は賢い動物であるがゆえに自宅に帰ってくるのではないかと思うのも無理はありません。
確かに、脱走した犬が数日経って自宅に戻ってきたり、何らかの理由で外出先ではぐれてしまったものの、遠い距離を自力で走って帰ってきたという事例はあります。
ただし、このような例はあくまでも稀なケースであり、脱走した犬が確実に帰ってくるという保証はありません。
そのため、飼い主は責任をもって脱走をしないよう対策を講じておく必要があるのです。
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犬はなぜ脱走する?考えられる心理とは
普段はおとなしく自宅で過ごしているのに、ふとしたときにわずかな隙をついて脱走することがあります。
そもそも、犬はなぜこのような行動を起こすのでしょうか。
考えられる心理や原因をいくつか紹介しましょう。
①危険を感じた・パニックを起こした
室内飼いの犬の場合、静かな空間で過ごしていることが多いですが、家族以外の知らない人が自宅に入ってきたり、大きな物音がしたりすると危険を感じることがあります。
こうした場合に一時的にパニックに陥ってしまい、自宅の中にいると危険だと判断し脱走を図るケースは少なくありません。
②ストレスを抱えている
犬は毎日のように散歩に出かけ、適度な運動をすることでストレスを解消します。
しかし、悪天候が続いていたり、飼い主の体調が思わしくないなどの理由で散歩に出かける頻度が少なくなってしまうと、犬はストレスを感じてしまいます。
その結果、玄関や窓を開けたときのわずかな隙をついて外に脱走することも珍しくありません。
③興味本位・遊び感覚
室内飼いの犬の場合、外に出て遊ぶ機会が多くないため、窓やドアの隙間から見える景色に興味を示すことがあります。
純粋に「外には何があるのだろう?」と感じ、遊び感覚で脱出を図ることも多いです。
特に、何にでも興味を示す子犬や、活発な性格の犬は興味本位で外に出たがる傾向が見られます。
④発情期を迎えたため
去勢手術をしていないオス犬の場合、発情期を迎えたメス犬が近づいてくると本能的に追いかけていってしまいます。
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犬の脱走防止に有効な7つの対策事例
犬が脱走を企てる心理状態や原因にはさまざまなパターンがあることがわかりました。
では、犬の脱走を防ぐために飼い主が対策すべきことは何なのでしょうか。
具体的な対策の事例を6つ紹介します。
1.自宅・ケージの戸締まり
犬の脱走を防ぐ基本的な対策としては、玄関や窓など屋外につながる部分をしっかりと施錠しておくことが挙げられます。
ケージから出し、室内で自由に遊ばせている家庭も多いと思いますが、玄関や窓を開閉する際にはケージに誘導し、外に出られないように戸締まりをしておくことが大切です。
特に春から秋にかけては窓を開ける機会も多くなると思いますが、鍵をかけていない状態では犬が自力で窓を開けて脱走を図ることも考えられるため、厳重な管理が必要です。
2.首輪やハーネスの定期的な点検
室内飼育ではなく、屋外にケージやハウスを設置して飼育している家庭も多いでしょう。
首輪やハーネスが緩く外れやすい状態になっていると、簡単に脱走を許してしまうことにもなりかねません。
定期的に首輪やハーネスの状態を確認し、金具が外れそうになっている、または緩い状態になっている場合には、装着し直したり新しいものに買い替えるなどの対策をしておきましょう。
3.迷子札の装着
万全の対策を講じていたとしても、わずかな隙をついて犬が脱走してしまうことも考えられます。
そこで、万が一外に出てしまっても迅速に飼い主へ連絡が来るように、首輪やハーネスに迷子札を付けておくことも有効です。
迷子札には犬の名前はもちろん、飼い主の氏名や住所、連絡先などを記載しておきましょう。
4.名前を呼んで呼び戻す訓練を行っておく
犬が脱走したとき、まずは自宅の近隣を探し回る必要があります。
このとき、普段から訓練ができていないと犬の名前を呼んでも反応を示さず、さらに遠くへ逃げていく可能性もあるでしょう。
ドッグランや毎日の散歩などのタイミングで、犬の名前で呼び戻す訓練を行っておくことが大切です。
5.マイクロチップを装着・登録する
現在、ペットショップやブリーダーで販売される犬・猫については、マイクロチップの装着および登録が義務化されています。
マイクロチップとは、体内に埋め込む数mmのチップのことであり、15桁の識別番号が記録されます。
飼い主の情報やペットのワクチン接種情報などがデータベース上に登録されており、識別番号からこれらの情報を把握することができます。
もし、現在飼育している犬にマイクロチップが装着されていない場合には、万が一脱走したときのために今からでも登録を行っておきましょう。
マイクロチップの装着は、最寄りの動物病院で獣医師に行ってもらう必要があります。
6.去勢手術をする
発情期を迎えた犬は、飼い主でさえも手を焼くほど攻撃的になり、執拗に脱走を図ろうとすることがあります。
このような行動は犬の本能であり、しつけをしていたとしても制御することは難しいでしょう。
そこで、繁殖させる気がないなら去勢手術をするのもひとつの方法です。
7.ペットリフォームをする
万全の戸締まりをしていたとしても、自宅の間取りや構造上、どうしても隙ができてしまうケースもあります。
そこで、ペットリフォームを検討してみるのもひとつの方法です。
たとえば、リビングと玄関が近い位置にあり、扉やドア、仕切りがない間取りのままだと、犬が脱走するリスクが高まってしまいます。
そこで、リビングと玄関の間に扉やドアを設置することで二重扉のような構造にすれば、安心して玄関扉を開閉できるようになるでしょう。
また、このような大掛かりなリフォームでなくとも、部屋と廊下の境界線にペット用のバリケードを設置する方法などもあります。
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脱走した犬の4つの探し方
万が一、犬が脱走してしまった場合、飼い主はどのようにして探せば良いのでしょうか。
1.まずは近隣を探す
飼い主が在宅中に脱走した場合には、すぐさま追いかけて近隣を探しましょう。
犬は瞬発力がある動物ですが、脱走直後は近隣に滞在していることも意外と多く、すぐに見つかる可能性も十分あります。
犬を保護する際には、走って近づくのではなく優しく声を掛けたり、お気に入りのフードやおもちゃを使って気を引くのも効果的です。
2.保健所・警察・動物病院へ連絡する
近隣を探しても見つからない場合には、保健所や警察、動物病院などへ連絡し保護されていないかを聞いてみましょう。
もし保護されていない場合には、警察に届け出ておきましょう。
3.SNSなどを使って呼びかける
自力で捜索できる範囲を探しても見つからない場合には、周囲の人に助けを求めることが大切です。
まずはXやInstagramなどのSNSを活用し、見かけた人や保護している人がいないかを聞いてみましょう。
その際、犬の写真はもちろんのこと、犬の特徴や脱走した大まかな場所なども記載しておくと分かりやすいです。
4.チラシの作成・配布
SNSはすぐに情報を拡散し捜索の範囲を広げられるメリットがありますが、そもそもSNSを利用していない人もいます。
そこで、SNSでの呼びかけと同時に、“迷い犬”のチラシを作成して配布し、捜索の範囲を広げてみましょう。
各戸への配布はもちろんですが、個人で経営している飲食店や美容室、商店などにチラシを貼らせてもらい、協力を仰ぐ方法もあります。
犬の脱走対策は万全に
犬はちょっとしたことがきっかけで脱走を図ることがあり、しつけを行っていたとしても安心とは限りません。
脱走した後、しばらく時間が経過すると自らの意志で飼い主のもとへ帰ってくる犬もいますが、このようなケースは稀であり、決して確率が高いとはいえません。
まずは自宅の玄関や窓の施錠、ケージをうまく活用するといった対策が基本ですが、万が一脱走したときのために呼び戻しの訓練やマイクロチップを装着しておくことも不可欠です。
ただし、自宅の間取りや構造上の問題により、脱走防止対策が難しい可能性もあるでしょう。
そのような場合には、ペットリフォームもひとつの手段として検討してみてください。