
「犬は飼い主に似る」という言葉を、一度は耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。
散歩中の二人がまるで親子のようにそっくりだったり、ふとした瞬間に性格まで似ているように感じたりと、単なる都市伝説として片付けられないポイントがたくさんあります。
今回は犬が飼い主に似ることが彫運等にあるのかどうか、科学的根拠を用いて真相に迫ってみたいと思います。
Contents
「犬は飼い主に似る」の真相とは

結論からいえば、「犬は飼い主に似る」という説は、単なる迷信とはいえません。
実際にそのような事例が過去にいくつも報告されており、科学的な根拠も存在しています。
もちろん全ての犬が飼い主の生き写しとなるわけではありませんが、限りなく真実に近いといって良いでしょう。
見た目や性格の共通点が観察されることも珍しくなく、特に長く一緒に暮らしている犬と飼い主の場合、その傾向が顕著になるようです。
関連記事:犬の甘噛みの理由は?いつまでにやめさせるべき?犬と飼い主が似る科学的根拠
続いて、先ほども触れた「犬は飼い主に似る」ことの科学的根拠について、3つのポイントに分けながらご紹介します。
- 見た目が似る理由
- 性格や行動が似る理由
- 心理学的な要因
それぞれの科学的根拠について詳しく見ていきましょう。
見た目が似る理由
犬は飼い主に似るものだとは知っていても、性格や行動だけが似通ってくるのではないかと考える方が多いでしょう。
実は見た目に関しても、犬と飼い主の類似性が研究によって証明されています。
2004年にアメリカの心理学者であるマイケル・ロイ氏が行った実験では、飼い主の顔写真と犬の写真を混ぜて被験者に見せ、ペアを当てさせるといったテストが行われました。
この実験では純血種の犬25匹中16匹で、本当の飼い主と犬の組み合わせが当てられたといわれています。
この現象の背景には、「単純接触効果」が関係していると考えられます。
これは見慣れたものに好感を抱く心理的傾向のことで、無意識のうちに自分に似た顔の犬に惹かれる可能性があるといえます。
私たちは毎日のように鏡で自分の顔を見ているため、記憶の中に顔の形状が強くインプットされており、「似ている」と感じる前に好感を抱くと考えられるでしょう。
つまり、犬と飼い主の見た目に関しては、長く暮らしているうちに見た目が変化するのではなく、初めから外見が似たペアができているといえます。
また、この実験では純血種の犬だけが正しくペアを当てられていたのに対し、異なる血種がミックスされた犬に関してはペアを当てた被験者の数が少ないという結果になりました。
これはミックス犬の風貌が子犬のころと大きく異なっており、父犬・母犬のどちらの遺伝子が強く出るか判断できないためだと予想されます。
性格や行動が似る理由
性格や行動の傾向についても、犬と飼い主の間には共通点が多いといわれています。
これは「同じ環境で過ごすこと」によって、犬が飼い主の生活スタイルや行動パターン・感情表現に強く影響を受け、自然と模倣するようになるためだと考えられます。
犬は非常に社会性の高い動物であり、人間の感情に対し敏感に反応します。
飼い主がストレスを感じていると犬も落ち着かなくなったり、逆にのんびりした性格の飼い主と過ごした犬はおっとりとしていることが多々あります。
また、ある研究では犬が飼い主の笑顔や怒りを読み取り、それに応じた行動をとるといった結果も出ています。
犬はただ飼い主の真似をしているのではなく、「共に生きるパートナー」として影響し合っているのです。
心理学的な要因
「犬は飼い主に似る」という説が有名であることから、私たちの思い込みに深く影響を与えている可能性もあるでしょう。
これは心理学でいう「確証バイアス」と呼ばれる現象であり、自分が信じている情報に一致する例ばかりを記憶に残し、そうでない例を無意識に無視する傾向のことを指します。
つまり似ていない飼い主と犬のペアよりも、そっくりなペアの方が多くの人の印象に残りやすく、その結果「やっぱり犬は飼い主に似るんだ」といった思い込みが発生しやすくなるのです。
関連記事:犬を飼うのに必要な部屋の準備5選|お迎え前に必要な準備とは?「犬は飼い主に似る」はことわざ?

「犬は飼い主に似る」という表現は、厳密にはことわざではありません。
いわゆる慣用的表現や俗説として多くの人に浸透しています。
心理学や動物行動学でも一定の科学的根拠が示されているため、ことわざではないとはいえ、単なる迷信や都市伝説とはいえないでしょう。
また、似た意味をもつ表現には以下のようなものがあります。
- 類は友を呼ぶ:似たもの同士は自然と同じ場所に集まるという意味
- 朱に交われば赤くなる:付き合う人や環境によって人の性格や行動が大きく変化することがあるという意味
どちらも、犬と飼い主が似てくる様子を表現する際に使える言葉です。
「犬は飼い主に似る」は真実だと感じたエピソード
続いて、「犬が飼い主に似る」といった噂が真実だと感じた方から寄せられたエピソードをご紹介します。
筆者の実家ではオスのポメラニアンを飼っています。
今年の4月で12歳になりました。犬の12歳というと、人間では50~60代くらいの立派なおじさんです。
しかし彼の顔立ちは幼く、目もキラキラしているので、ポメラニアンの成犬のサイズを知らない人には必ず子犬だと勘違いされます。
なぜこんな話をするのかというと、12年前のあの日、ペットショップで彼に一目惚れした筆者の母親は、昔から若く見えると言われてきたタイプだからです。
息子の私から見てもマイナス10歳くらいに見えます。
また、その犬はなかなかのグルメで、たまに出されたドッグフードを食べず、仕方なく大好きなキャベツやブロッコリーをトッピングしてやると食べてくれるのですが、母親もなかなかの菜食主義者なので、そういった点も似ていると思いました。
関連記事:一人暮らしで犬を飼いたい方必読!おすすめ犬種と注意点まとめ
「犬は飼い主に似る」という言葉は、単なる都市伝説やユニークな言い伝えなどではなく、実際に科学的・心理的に裏付けられた現象の一つです。
確証バイアスなどさまざまな要素が絡み合っているほか、犬と飼い主が深い絆で結ばれている証ともいえるでしょう。
家で待っている愛犬を思い出しながら、自分と犬の共通点を探してみてはいかがでしょうか。